『殺しへのライン』 アンソニー・ホロヴィッツ | 固ゆで卵で行こう!

固ゆで卵で行こう!

ハードボイルド・冒険小説をメインにした読書の日々。


時に映画やRockな日々。またDragonsを応援する日々。そして珈琲とスイーツな日々。

 

 

チャンネル諸島のオルダニー島にて初めて開催される文芸フェアに、刊行間近の『メインテーマは殺人』のプロモーションとして、作家のアンソニー・ホロヴィッツは、相棒である探偵ダニエル・ホーソーンを伴い参加する事に。

しかし、文芸フェスの関係者のひとりが死体で発見され…。

 

 

 

〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ3作目。

 

今回はこれまでで一番クリスティっぽい感じでしょうか。

 

孤島で起きる殺人事件。

 

容疑者となる関係者、文芸フェスの主催者夫婦、有名料理人とその助手、児童文学作家、霊能者とその夫、オルダニー島在住の歴史家、フラン詩人の詩人、それに文芸フェスのスポンサーでもありオンライン・カジノのCEO、更にはある人物など、誰も彼も怪しい人物に見えてきます。

 

でも、ミステリーとしてはオーソドックスな展開や伏線で、犯人については途中で予想がつきました。

とはいえ全てが分かった訳では無く、やはりミスリードのさせ方、そして人物の描き方が上手いなぁと感心。

 

それに、ホーソーンが文芸フェスに積極的に参加のうえ、様々な質問にも割と素直に答えるなど、これまでとは違った彼を見る事になり、それには語り手となるホロヴィッツでなくとも意外に思えます。

 

そういったところも含め、ホーソーンその人の謎や内面について薄っすらとではありますが見えるように描かれ、更に彼の事について知りたくなると同時に、それ故か、これまでに比べると嫌な奴に見えなかったりして。

 



それにしても、あの人の描き方も含め、今回はシリーズとしては繋ぎな回のような印象も受けましたが、どうでしょう。