高級ホテルのメイドとして働くモーリ―は、清掃に入った客室で悪名高い大富豪ブラックの死体を発見。
社会性に乏しく、他人の意図を読みとることができないモーリーは、それゆえに警察から容疑者として見られてしまう。
高級ホテルでメイドとして働くモーリーは他人の意図を読みとる事が出来ず、他人との付き合いに難があります。
そんな彼女が客室で不動産王の死体を発見、容疑者に。
他人から理解されづらいけれど亡くなった祖母の教えを守り、誇りをもって誠実に働く彼女が、その率直な優しさゆえに、他人から受けるいわれのない仕打ちにいたたまれなくなって、前半は読むのが辛くなるほどでした。
いわゆる「普通」と違うと言われるような人に対する行いって、きっと誰もが多かれ少なかれ経験したり見た事があったりするもので、だからこそ自分を省みて読んでいて心が痛くなります。
でもモーリーにとっての「普通」は当たり前のものであって、それ以外の人こそ「普通」では無かったりもするんですよね。
そういうのって、すぐに忘れがちだけれど、ちょっとでもいいから心の片隅で意識できたらな、なんて思ったりも。
さて、濡れ衣を着せられたモーリーですが、果たしていかにしてその嫌疑を晴らし、悪人どもを懲らしめるのか。
モーリーの事を信じ、ずっと見守ってきたドアマン達の協力もあって、事態を打開していく様は実に痛快で、モーリーを含め彼女を助ける人達が実に愛おしく思えてきます。
と、思ったら、それだけじゃ無いものが実は待っています。
そこで明らかになるモーリーのしたたかな部分は意外でもあり、また、人の多面性に納得するものが。
モーリーの優しさと強さ、見習いたなとも思ったりしたんですが、読まれた方はどう感じたのかも気になるところですね。
