『木曜殺人クラブ』 リチャード・オスマン | 固ゆで卵で行こう!

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かつての修道院を中心に現代的な施設が立ち並ぶ引退者用の高級施設クーパーズ・チェイスでは、敷地内の墓地と庭園を開発して新たな棟を建てようとする経営者陣に住人たちが反発している最中、施設の経営者の一人ト二―・カランが何者かに殺されるという事件が発生。

 

そのクーパーズ・チェイスには、趣味で未解決事件を調査する〈木曜殺人クラブ〉の老人たちがおり、現実に起こったトニー・カラン殺人事件の調査に乗り出します。

 

物語そのものは、いくつも事件が重なり合って描かれていく事で読者を翻弄させるのですが、割と都合よく手掛かりが向こうからやってくるので、本格ミステリとして期待するとちょっと肩透かしでしょうか。

 

ただやはり魅力的なのは、個性的な登場人物たち。

 

老人たちのユーモア溢れるやり取りが楽し過ぎるんですよね。

 

〈木曜殺人クラブ〉は4人のメンバー、経歴不詳のエリザベス、元看護師のジョイス、元労働運動家のロン、元精神科医のイブラヒムから成っているのですが、特にその中心人物となるエリザベス。

 

もともと〈木曜殺人クラブ〉は、現在は療養中でメンバーから抜けている元警官だったペニーという女性が退職前に持ち出した未解決事件ファイルの中から一緒に事件を推理していた事から始まったのですが、エリザベス自身が謎の過去(元スパイ?)を持っている様子があり、今回は明らかにされなかったその過去についてもいつか語られて欲しいところです。

 

老人たちだけで無く、事件の捜査に乗り出すドナ巡査とクリス主任警部の地元の警察コンビもまたいい味を出しています。

スコットランドヤードの刑事だったものの田舎の警察に追われたドナは手柄を立てる事に逸り、エリザベスたちのお陰で捜査に加わる事になるのですが、そこで上司であるクリス主任警部との関係が変わっていく様子も、事件の本筋とは違うものの楽しめました。

 

 

本書は、年齢を重ね経験を積んだ老人たちのユーモアと機知に富んでいるだけでなく、人生における苦しみや切なさ、そして喜びと楽しみなどが鮮やかに描かれており、映像化されて欲しいと思える作品でした。

 

〈木曜殺人クラブ〉の面々が再び登場する二作目も用意されているという事で楽しみ!

 

 

 
ところで本書はポケミスながら2段組みで無いだけでなく、表紙にビニールのカバーがかかっていないのが一番のミステリだったりして?