『父を撃った12の銃弾』 ハンナ・ティンティ | 固ゆで卵で行こう!

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12歳の少女ルーの成長と共に、父のホーリーの身体にある12の銃弾の顛末が描かれるノワール的な物語。

そしてルーとホーリーと亡くなったルーの母親リリーについて描かれる家族の物語でもあります。

 

 

ずっと父と二人で各地を転々としてきた12歳の少女ルーは、亡き母の故郷に父と共に暮らしはじめます。

そこには母方の祖母が住んでいるものの、ホーリーとルーには会おうとしません。

父が亡き母のことを教えてくれない理由もそこにあるのか、亡き母の謎を軸に物語は展開していきます。

 

 

学校でルーが受ける苛めや、初めての恋とその行方などを通じて描かれるルーの成長。

その過程でルーが自身の内に秘めているもの、攻撃的な衝動を発散させる姿は、若さゆえの危うさと共に美しささえ感じます。

 

そしてホーリーの身体にある12の銃弾の痕を通じて描かれるのは、ホーリーが犯してきた罪の中で出会い、ホーリーが唯一人愛した亡き妻リリーの姿。

多くを語ろうとしないホーリーが抱えてきたものは、失ったものへと慈しみ守ろうとするものへの深すぎる愛なのでしょうか。

 

 

過去について、そして母親リリーの死の真相について決して語ろうとしない父ホーリーからルーが学んだのは銃の扱いだけでは無かった事が、父のその姿と自身の内にあるものが重なっていく様子が、脳内で浮かぶような美しく雄大でどこか幻想的な大自然の情景と共に描かれます。

 

特に序盤のオイルを塗ったマストの上を走るホーリーの躍動する姿、海の上で遭遇する鯨の場面などは色鮮やかに目に浮かびいつまでも印象に残るものがありました。

 

そしてルーだけでは無く、実はホーリーの成長を描いた愛の物語でもあった事が読み進めるうちに気付かされるのですが、それゆえラストは胸をいっぱいにさせてくるものがありました。