カリスマシェフとして名声を誇ったジャレド・キートンは娘のエリザベスを殺したとしてポーに逮捕され服役中。
しかし、6年後、エリザベスが生きて姿を現し、逮捕されたキートンについて様々な証拠は冤罪を示す中、ポーはキートンこそ真犯人と捜査するのだが・・・。
〈ワシントン・ポー〉シリーズ2作目。
1作目の『ストーンサークルの殺人』もそうでしたが、読み出したら止まらないというか止まらせない構成がニクイぐらいです(笑)。
章ごとに次への仕掛けが待っているのでページを捲る手が止まりません。
少々強引な点があるのは否めませんが、ポーとティリー、そしてフリンの3人の信頼関係、ポーを執拗に責める警官、ポーを窮地に追い込む6年前にポーが逮捕した男キートンなど、それぞれ登場人物が印象付けられるように描かれているのも、緊張感を高めると共にテンポの良さ加速させているのかも知れません。
その中で、やはりポーが6年前に逮捕したキートンという人物のサイコパスっぷりさが強く印象に残ります。
物証や状況から殺されていると確信したはずのエリザベスが生きて現れ、検査の結果はエリザベス本人である事を明確に示唆されます。
いくらキートンが犯人なのは間違いないと信じていても、あらゆる証拠が冤罪である事をポーに叩きつけられため、やはり自身が誤っていたのではと苦悩しながらも捜査を進める中、いかに不可能と思える事実を覆すのかというミステリとしての面白さと、絶体絶命ともいえる危機に陥るポーの焦燥感を描いたサスペンスとしての面白さを堪能させてくれましたし、畳みかけるような終盤の展開もまた読み応えありました。
そうそう、ティリーとのコンビ感の連携が格段に良くなっているのも楽しかったですね。
そのティリーの出番が前作に比べると少なかったのが残念なところでしょうか(笑)。
それにしてもラストはその後が気になる終わり方。
続きが楽しみです。
