刑事弁護士のマヤは、10年前に大富豪の娘ジェシカ・シルバーの誘拐殺人事件の陪審員の一人だった。
その際に、犯人として起訴されていた黒人教師ボビー・ノックスは無罪であると信じ、他の陪審員たちに働きかけ、陪審団は無罪評決を下していた。
そして現在、新たに事件についてと当時の様子を検証するドキュメンタリー番組が製作される事となり、マヤは撮影場所であり、10年前に陪審員として滞在していたホテルにて、かつての陪審員仲間達と再会する。
その中には当時、親しくしていたリックとの再会に胸を躍らせるマヤだったが、リックはボビーの有罪を示す証拠があると明言するも、新たな事件が発生し・・・。
現在を中心に過去の出来事をカットバックしながら描かれるリーガルサスペンス。
果たして10年前に下した無罪評決は正しい選択だったのか。
そして容疑者だった黒人教師のボビー・ノックスはやはり犯人っだったのか。
また、10年後の現在、新たに起きた事件の犯人は。
10年前、大富豪の一人娘ジェシカが行方不明となり、死体は見つからないまま誘拐殺人事件として起訴されたのは黒人教師のボビー・ノックス。
あらゆる証拠が犯人はボビーである事を示していながら、マヤは死体が発見されていない事などからボビーは無実であると他の陪審たちを説得し無罪評決を選択する事になったのですが、その時の過程を挿入しながら、刑事弁護士マヤが自身が陥った苦境に皮肉を感じつつも殺人容疑を晴らすために、過去と現在の事件を調査する様子が描かれていきます。
その中で、10年前、無罪評決を下した陪審員たちは世間から猛バッシングを受け、それぞれの人生は大きく狂っていた事が判明します。
そして裁判を通じて知り合い親しくなったものの、意見が最後まで分かれて結果的には裁判が終わった後に会う事もなくなったリックが、その当時の決断を後悔し、ボビーが犯人である証拠を探し続けていたその執念。
リックがそこまで事件にのめり込んでいた理由などは、もう少し強い動機付けがあるといいかなとも思いましたが、終盤の思いがけない展開、ミステリ的な仕掛けには思わず唸るものがありましたし、先が気になって一気に読ませてくれます。
何より、マヤが過去に下した判断について揺れ、悩む様子。
自身がどうしようもない状況に陥いり追い込まれていく中、どうその状況を打破するのか、過去の事件と現在の事件の真実を求めて必死となる様子は緊迫感がありました。
そしてその結末。
本書はアメリカの陪審員制度についてや、人種差別といったものの問題を提起しつつも、あくまでエンターテイメントとしてサスペンスフルに描かれいますが、決して安易なハッピーエンドとしてでなく、苦いものを残したものとして描かれているのも印象的でした。
