父の訃報を聞いて実家に戻ってきたハリー。
美しい継母アリスと共に父を失った悲しみに浸るハリーだったが、父は単なる転落死と思われていたはずが警察より何者かに殴打されていたと聞かされる。
父の事を知る人物から話を聞くうちに、ハリーはアリスに対して疑念を抱くようになるのだが。
父の転落死の報を聞いて実家に戻った大学の卒業式を間近に控えたハリー。
悲嘆にくれる美しい継母のアリスに、思春期らしく複雑な想いを抱いている様子がどことなく不穏な空気を感じさせるのですが、父は誰かに殴打されていた事実が判明すると、よりその空気が濃くなっていきます。
現在のハリーの視点と、少女時代の過去のアリスの視点で交互に紡がれていく中で、現在の事件と過去の出来事は、決して展開が早くはないものの、それぞれ情景が目に浮かぶかのように丁寧に描かれていく様は、一体に何が起こっているのか、過去の出来事はどう現在に繋がっていくのか、アリスの事件への関与について抱く疑念の思いと共に緊張感が高まっていきます。
そして迎えた第二部で新たな人物の視点が加わると、思わず驚きの声を上げてしまいそうに。
物語の様相が反転し、見えていなかったものが徐々にではありますが、鮮明に浮かび上がってくるため、深まるアリスへの疑念もより複雑なものに。
真相だけでなく、ハリーやアリスたちにどんな運命や未来が待っているのかが気になり、最後までページを捲る手が止まりませんでした。
それにしても、一文で読者を引きつける構成は、『そしてミランダを殺す』のピーター・スワンソンらしいですよね。
そのたくらみに見事にしてやられました(笑)。
また、様々な結末を予想しながら読ませるので、派手な展開は無くとも飽きさせないんですよね。
そして何より、決して共感を覚えるはずのない登場人物に何故か肩入れしてしまいたくなる人物の描き方が実にうまい!
それゆえ結末は願っていたものになるのかどうか、最後の最後まで目が離せませんでした。
