文芸編集者の美希が仕事で出会った不思議な出来事。
それを中野に住む国語教師の父に話すと、たちまちその謎を解いてくれるという、著者らしい優しさ溢れる日常の謎を描いた短編集です。
スカッと謎を解いてくれたように見えるものもあれば、解釈の違いで見えてくるものなど。
ほんわかしつつも、どこか人間がもつ〈負〉の側面をも見せてくれます。
そしてやはり父と娘のやり取りなどが微笑ましいです。
しかし、お父さんの引き出しの多さ、知識量の半端無さに感服です。
もともと国語の教師だったという著者が投影されたものかも思えますが、中野のお父さんを通じ、著者の姿が見えてきそうな気もしますね。