コペンハーゲンでシングルマザーの若い女性の死体が、片手を切断された状態で発見される。
現場には犯人に繋がる痕跡は無いものの、遺体のそばには栗の実で作られた人形(チェスナットマン)が残されており、それには一年前に誘拐され殺された少女クリスティーヌの指紋が。
その一年前に殺された少女の母親ローサ・ハートンは現職の大臣で、娘が殺されたショックで休職していたものの、ちょうど復職を果たしたところだった。
目を覆いたくなる陰惨で衝撃的な場面も多い連続猟奇殺人を、児童虐待や育児放棄といった問題を根底に描かれるサスペンスです。
事件を追う様子は、サイバー犯罪部門への異動を希望している重大犯罪課の刑事ナヤ・トゥーリンと、デンマーク警察からユーロポール(欧州刑事警察機構)に派遣されている連絡担当官で、派遣先で不興を買って一時的に古巣のコペンハーゲン警察に殺人課にあずけられたマーク・ヘスの二人によって描かれています。
二人とも本来は優秀な人材ながら、自身の異動のためにもトゥリーンは上の方針に従わざるを得ず、ヘスはそもそもやる気が無いという、そんあ二人が相棒を組む事になるため、捜査も思うように進みません。
そんな中で新たな事件が発生。
大臣の娘が殺された事件との関りについても調査する必要に駆られるも、少女を殺した犯人は服役中である事もあり、また、過去の事件に幕を引きたい上層部、新たな手掛かりを追う二人に対して敵視する仲間の刑事といった障壁が、更に捜査を難航させます。
対照的に見える二人の刑事が、それぞれの視点で真相に近づく様子や、子を殺された両親の苦悩と二人の関係性の変化など、その心情が胸を迫るように描かれており、ボリュームありながらも短い章立てで、犯人についても実に読者に思わせぶりな描写で惑わすなど、更に先を読ませる仕掛けが上手く、気付けば夢中になってグイグイ読んでしまいます。
多少ツッコミどころはありますが、これだけ読ませてくれれば目を瞑りましょう。
実際、読んでいて「コイツガアヤシイ」と思ってからひっくり返さらえるのも楽しいですしね(笑)。
北欧ミステリらしい陰惨で暗鬱な雰囲気に覆われてはいますが、ツイストする展開はジェットコースターのようなので、安心して(?)それに乗って一気に読みたいサスペンスです。
真実の欠片を追うトゥリーンとヘスの本来の有能さや二人の関係性をもう少し描いて欲しかった部分もありますが、ラストも安易なものにさせないところが心憎いですし、続編があるとしたら二人のその後の関係性の変化にも期待したいところです。