娘を誘拐されたガブリエラは、引き換えにある秘密のリストを要求されていた。
隠れ家にて潜み、誘拐犯との交渉に向かった友人の帰りを待つも、玄関に現れたのは銃を持った誘拐犯だった・・・。
本書は最終章から始まり、時系列を遡って描かれる逆回し小説という形をとっています。
最初、いや、最後の方は何が何だかな状態。
しかしながら章が戻っていく毎に、登場人物もどんな人物なのか分かり始めると共に、一つ一つ謎が解けていきます。
その謎が次々と明かされていくものの、それでも全貌が見えてこないので、先が、というか元が知りたくなり一気に読ませます。
とはいえ、どうしても‟どんでん返しのディーヴァー”という事で裏を読もうと身構えて読んでしまいますね(笑)。
そしてある程度は予想が当たりました。
とはいえその予想を更に上回る展開が待っていました。
思わず「おぉ」と声に出して驚き、最後まで読み終えた時点でまずは本書の最初に収められている最終章の最後を確かめてしまいました。
その上で更に最初から、いえ、最後から読み返して色々確かめたくなりましたね。
むむ、ディーヴァー恐るべし!
しかし、実際にこれを普通の時系列で描かれていたらなんて事のないサスペンスだったかと思いますが、それをアイデア勝負というか、実験的に作品を仕上げた著者に感服です。
それにしてもディーヴァーの新作を、単行本では無く、文庫で最初から読めるのはありがたいですね(笑)。