高校2年生の陸秋槎は校内で発表する自作の推理小説について、その謎解きに穴が無いかを確認する必要から、数学の天才だがその性格から孤高の存在である韓采蘆と出逢う。
突飛な言動を取る韓采蘆は、作者である陸秋槎も予想できない真相に辿り着く・・・。
ほんのり百合成分のある本格華文ミステリ連作短編集。
推理小説を書く文学少女である陸秋槎と数学の天才少女である韓采蘆の二人を軸に、日常の中で起こる事件が描かれていきます。
それは決して正解が提示される訳でなく、韓采蘆によってミステリとしての論理の穴や特定できない事実など、数学の定理や理論を通じて明らかにされるミステリ論が展開。
正直、数字を見るだけで拒否反応を起こしてしまう自分なので、韓采蘆が語る数学の理論や説明はちんぷんかんぷん(笑)。
でも、著者が自身の名をつけた主人公、陸秋槎と韓采蘆を通じて語られる、本格や新本格と言われるミステリーへの愛が濃くて、それだけでも楽しめます。
そんな中、「連続体仮設」で采蘆によって高らかに宣言されるミステリ論には背筋が震えるものがありました。
答えが明らかにされない事件と少女達の淡い関係性も楽しめる青春ミステリ。
彼女たちが事件を通じて成長し、変わっていく姿をもっと見ていたくなりました。