私立探偵を営むサム元警視は、七色の髭を持つ謎の男から、何百万ドルもの価値がある秘密に繋がる手がかりの入った封筒を預かってほしいという奇妙な依頼を受ける。
そんなサム元警視の元に、消えた博物館の警備員の安否を気遣い捜して欲しいとの願いが舞い込み、サム元警視は娘のペイシェンスと共に元警官というその警備員の行方を調査に乗り出す事になるのだが・・・。
〈ドルリー・レーン〉四部作の最終作。
X、Y、Zは過去に読んだ事ありましたが、本作だけ今まで全く読んでいませんでした。
昨年、X、Y、Zを読み返した流れでようやく本書を手に取りましたが、なるほど、この四部作が〈悲劇四部作〉とも呼ばれているのをようやく理解すると共に大きな衝撃と哀しみを受けました。
謎の封筒、消えた警備員、シェイクスピアの貴重な稀覯本のすり替え、謎の愛書家の正体といった、サム元警視の頭を悩ます様々な謎が展開する前半は、サム警視の娘ペイシェンスの溌剌とした姿もあって冒険活劇のような雰囲気もあります。
しかし後半に入ると一転。
元シェイクスピア俳優のドルリー・レーンによる論理的推理が展開する辺りは、これまでの三作同様に本格ミステリーとしての興奮を覚えるようにググっと引き込まれます。
ま、正直、とある人物の謎については、少々安易なネタで興ざめかなと思わないでも無かったですが(笑)。
しかし、残る謎については読み進めながら、
「これってもしかして・・・」
「いやいや、まさか・・・ね」
と、一抹の不安が過りました。
けれども、頭に過ったその恐れが現実化した時の衝撃度と言ったら!
シェイクスピアへのリスペクトが全面に押し出されたシリーズとして、X、Y、Z全てを伏線とし迎える結末に震えが止まりませんでした。
この四部作、特にXやYが有名かと思いますが、四部作通して一つの作品とも言えるので、Xを読んだ方は是非とも最後まで読んで欲しいですね。