大富豪ヨーク・ハッターの死体がマンハッタン近郊の海で発見され、毒物による自殺だととして事件は処理される。
その後、ハッター家で毒が盛られるという事件が続き、ハッター夫人がマンドリンで殴り殺される。
ドルリー・レーンはハッター家に乗り込み調査を開始するのだが、事件の裏に思いもかけない真実が隠されていた。
〈ドルリー・レーン〉四部作の二作目。
子供の頃に読んで衝撃を受けたものだけれど、すっかり内容を忘れての再読。
なので初読のように楽しめたのは自分の記憶力の無さのお陰です(笑)。
さて、前半はなかなか乗り切れない部分がありましたが、ハッター一族の個性的な面々が物語を引っ張ってくれます。
事件そのものは、ルイーザの証言やその他の散りばめられた手掛かりで犯人も分かりました。
これは昔の記憶が蘇ったからなのか、それともやはりこれまでのミステリを読んできた経験や知識からでしょうか。
実際、犯人を指すものは説明されると確かに「あの人でしかない」と納得させられるでしょう。
そして、ドルリーがどのように思考し真実の前に苦悩したのかを想像し、彼が取った行動について、どう感じどう考えるのかを読者に問いかけるような事件はまさに〈悲劇〉そのものでした。
それにしてもこれを子供の頃に読むとそれは衝撃的でしょうね。
今ではこの手のものもそう珍しく無いかも知れませんが、それだけに本作が後にどれだけ影響を与えたのか、本作をオマージュにした作品が沢山ある事からそれも明らかじゃないでしょうか。
さて、少し時間をおいて『Zの悲劇』を再読し、シリーズ最終作の『ドルリー・レーン最後の事件』も読もうっと。