〈特捜部Q〉シリーズ8作目。
前作ではローセの過去と謎が明らかにされましたが、本作ではついにアサドの謎が解明されます。
暗鬱な事件が描かれる事が多い中で、陽気で前向きで愛嬌あるアサドの姿はQの皆の救いでありましたが、いったい彼がどれほどの重荷を背負っていたのか。
それはあまりにも壮絶で、辛くて読み進めるのも困難に思える程。
しかし前作で心身ともに傷付いていたローセも復活し、ゴードンは思いがけない成長を見せ、そしてカールとアサドの間に築かれた信頼や友情を含めQのメンバーの絆が深まっている様子が描かれているので、その重さがあってもシリーズを追いかけてきた読者は、なんとかアサドが、そして彼が救おうとしているものが助かるような結末を願ってページを捲るの止める事は出来なくなります。
また、今回は国際テロやアサドの宿敵との対決といった面が強く押し出されているため、いつもと違った緊張感もまた物語を牽引していたようにも思えます。
さて、ローセとアサドについての謎が続けて描かれ、残すはカールが特捜部Qを率いるようになったきっかけとなった過去の事件、ステープル釘打ち機事件。
これまで描かれてきたローセやアサドの影に隠れ、ちょっと忘れかけてた読者も多いのでは(笑)。
果たして次作でその真相が描かれるのでしょうか。
カールが私生活でも幸せを手に入れる事が出来たようですし、もしステープル釘打ち機事件の描かれるとしたら本シリーズも終わる時なのかも知れないと思うと寂しいですが、次作が待ち遠しいですね。