地方の小さな広告会社で働く芳野は、生まれてから一度も彼女はおらず、仕事も中途半端。
そんな「できない男」芳野は、地元と大手食品メーカーによる農業テーマパーク事業に関わる事に。
そこで出会ったのは、芳野の憧れである有名デザイナーの片腕である河合。
河合は仕事に関しては有能だが、色々な事に覚悟を持つ事が「できない男」だった。
「できない男」二人が主人公の青春小説。
一人はリア充な青春を過ごせず彼女が出来た事もない男、芳野。
もう一人は仕事はできるけど、女性や仕事に真剣に向き合う覚悟ができない男、河合。
二人と二人が絡んでいく登場人物とのやり取りは可笑しくニヤニヤしながら読みましたが、リア充だったと言う事は出来ない青春を過ごした読者には刺さると共にどこか悲しく見える部分があるかも。
そんな中、芳野が河合や河合の勤めるデザイン会社での経験を得て、少しずつ成長していく様子には思わず応援してしまいます。
一方、河合の方は結婚や仕事に対して覚悟を持てない様子に、いつ覚悟できるようになるんだろうと見守る感じでした。
そして二人は思いがけない決断を下す事で、「できない男」が「できるかも知れない男」になっていくのですが、それにしてもラストで見せる芳野の決断と言ったら!
芳野にとって後悔しないためには確かに正しい決断でしょう。
でもね、うん。二度と田舎には帰れないよね。。。
