『汚れた雪』 アントニオ・マンジーニ | 固ゆで卵で行こう!

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時に映画やRockな日々。またDragonsを応援する日々。そして珈琲とスイーツな日々。

 

 

 

イタリア北部の田舎町アオスタのスキー場にて、圧雪車に轢かれた無残な死体が発見される。

不祥事によりローマから飛ばされてきたロッコ・スキャヴォーネ副警察長は、雪で滲みるブランド靴、使えない部下、そして愛するローマの街と比べ物にならない田舎町について悪態をつきながら捜査を行う。

 

 

 

 

ローマからイタリア北部のアオスタという田舎に飛ばされた副警察長ロッコ。

 

口は悪いし、金にも女にも目が無いし、暴力を振るう事や法を破ることも厭わないし、部下にも冷たくあたるし、口を開けば飛ばされる前に住んでいたローマについて賛美。

 

どうやら飛ばされる前のローマでは相当有能な警察官であった事が伺えるものの、どこをどう見ても好きになれそうにない主人公です。

 

しかしながら、ロッコが違法捜査するどころか自ら犯罪に手を染めながらも、自身の中のルールというか矜持を持ち続ける姿。

 

ししてマリーナという妻を愛し続けている姿が露わになるにつれ、ロッコの事を何故か嫌いになれず、逆に魅力的な男に見えてくるのが不思議。

 

 

事件そのものは察しのいい読者なら早々に犯人について気付けそうで、ミステリとしては物足りないむきはあるかも知れません。

 

しかし、どうやらロッコの表でも裏の顔でも右腕になりそうな部下や、ロッコの違法行為を知りつつも協力もしくは敵対しそうな人物の存在など、脇を固める登場人物もいい味を出しており、示唆されているロッコの過去がどのように明かされていくのといった事も含め、今後が楽しみなシリーズです。