シングルマザーは癌を克服し新たな職を得て希望を持てるようになったと思っていたところに医者から診察に来るようにとの連絡を受け、癌が再発したのかと不安を覚える。
そこに追い打ちをかけるようにかかってきた見知らぬ電話。
それは娘のカイリーを誘拐したというものだった。
シングルマザーのレイチェルの元にかかってきた電話の内容は一人娘のカイリーを誘拐したというもので、その目的は〈チェーン〉だという。
実はレイチェルの娘を誘拐し電話を掛けてきた相手も、自身の子供を誘拐され、助ける為に他人の子供を誘拐する必要が。
癌の再発に怯えるレイチェルを叩き落すような内容を受け、レイチェルは娘を助けるために誘拐犯の言う通りに金を用意し、見知らぬ他人の子供を誘拐する事を決意するのですが、とにかくスピード感が半端なく怒涛の勢いでその様子が描かれます。
果たして娘を取り戻す事ができたとしても〈チェーン〉を断つことは出来るのか?!
レイチェルは娘を取り戻すために元軍人の義兄のピートに助けを求めるのですが、このピートが薬物に依存していて頼りになりそうでならなかったり、やっぱり頼りになったりとする様子がハラハラドキドキ感を実に絶妙なさじ加減で煽ってくれます。
そして誘拐され監禁されたカイリー自身の強さというのも光ります。
ただ怯えるだけの少女ではなく、自力で脱出しようとする勇気と賢さを見せるのですが、後半では少女らしい弱さを見せるところなど、等身大の人間として描かれていたのは良かったですね。
その後半、前半の勢いは衰えずますます増していきます。
〈チェーン〉のシステムが恐ろしいのは天才的なまでのアイデアと計画によって、被害者が決して警察に届出られないだけなく、被害者自身は犯罪者になっていくという事実を突きつけられるから。
その事に向き合う事の意味は実に悪魔的。
悪夢のようなその連鎖を断ち切るために反撃を行うレイチェル達の姿は怒涛の展開で見せてくれ、あっという間に読了させられました。
若干軽めの描写は気になるところでしたが、連鎖する誘拐というアイデアだけでご飯3杯はいけそうでした(笑)。