〈月舟町〉三部作の二作目。
全体的にふわっと包み込んでくれる優しい雰囲気と美味しいサンドイッチと愛に満ちたスープで満たされます。
特に大きな事件は起きないけれど、淡々と流れていく時に身を任せているうちに、いつしかこの世界にどっぷりはまっています。
昔の映画、そしてその映画の脇役として出演する女優に憧れある大里君。
会社を辞めて映画を観て暮らす中で出会ったサンドイッチが彼の人生を変えてくれ、いつしか誰かのためにとスープを作る毎日に。
過去への愛おしさと、誰かのためにと想う優しさに満ちたスープはとても滋養たっぷりで読者の心を満たしてくれます。
緑の帽子の彼女の正体は読者はすぐに気付くかと思いますが、彼女のために作るスープと腕時計の時刻を合わせる場面では、胸に溢れる言葉にならない感情は、何故だか涙となり流れました。
それからはスープのことばかり考えて暮らした (中公文庫)