発売前の大好きな作家の新作を見つけた野々香が、その持ち主を探し始める中で繋がっていく人との縁と広がる世界。
本を題材にした物語は、それだけで本好きなら無条件で愛おしく思えるものですね。
初々しい中学生が本によって世界が広がり、そして本と関わって生きたいと願うようになるのは必然で、読んでてとても微笑ましかったです。
現実でも、本が繋げてくれる出会いがあり、そして世界が広がっていくという事は、大人になってもあります。
実際に自分自身でもそういう経験を、特に最近しています。
ただ、これもどこかで線を超えるというか、壁を破る事が必要で、そういう後押しができるような存在になったりきっかけを作ったりする事が、ちょっとでも出来たら嬉しいかも。
そして本が好きだと無条件で言い合える仲間が身近にいる事は幸せだなぁ、なんてしみじみ思ったりもしました。
また、本書は中学生や高校生向けに書かれた本かも知れませんが、大人だからこそ楽しめる部分も大きいので、子供向けだからと思わず手に取って欲しい一冊です。
大崎梢 「だいじな本のみつけ方」 (光文社文庫)