榛名忍は高校生の時に小説家としてデビューし「天才作家」とも騒がれた。
しかし大学生となった忍は次第に売れなくなっていく著書に作家としてやっていく事に自信を無くし始めていた。
そんな中で編集者から競歩をテーマに書いてみないかと言われ、気乗りしないまま大学内の競歩選手の姿を見に行くのだが。
本書は競歩をテーマにしたスポーツ小説である青春小説なんだけど、デビュー当時は持て囃されたものの、現在はスランプに陥いっている主人公の若き作家についても描いた作家小説であり青春小説という面も大きいのが特徴。
競歩選手はそもそも競歩をやりたくてなった選手は殆どいないという現実と、その現実に向きあいながら最も過酷な陸上競技に挑む姿に、スランプに陥いる自信を失っている自身を重ねながら、自分の弱さと向き合い敵愾心さえ持つライバルの事を認める事が出来るようになるまでが描かれています。
うーん、こういうの弱いんだよねぇ。
自分を肯定するようになるまでに苦しみや痛みや葛藤、そして誰かを純粋に応援したり肯定できるようになる過程に胸が「きゅうっ」となるようなものを感じ、何度も涙しそうになりながら読みました。
うん、好きだな、これ。
良い物語だ。
結末は多少甘いかも知れないけど、それはそれで嬉しくなるから良し(笑)。
また、実際の競技もこれでルールなども知れて、これからはより楽しんで応援できそうです。
事実、実は本作を読んだのは世界陸上の競歩競技の前で、リアルタイムでTVで競歩競技を観れたので、そのレースの過酷さとルールを理解しながら観つつ、応援して観てたので実に熱かったです!
額賀澪 「競歩王」