兄のショーンが何者かに射殺され、15歳のウィルは「掟」に従い兄の敵討ちのために8階にある自宅からエレベーターに乗って1階に向かうのだが、そこでもう会える筈のない者たちに出会う。
兄を射殺されたウィルは掟「愛する誰かが殺されたなら、殺したやつを見つけだし、かならずそいつを殺さなければならない」、に従い、復讐を果たすべく兄が持っていた銃を手に取りエレベーターへ。
そのエレベーターの中では扉が開く度に思いがけない人物が乗り込みウィルの内なる不安や恐れに形となって語りかけます。
その様子を横書きで「詩」の形を取り、更にそのレイアウトまで凝った作りでもって読み手に訴えてくるものは、思ってた以上に力強いもの。
なので、文字数も少なく読み易い筈なのに、その言葉の力でもって読み手の心まで圧され胸が苦しくなり、思おう以上に時間を掛けて読む事になりました。
けれども、その訴える言葉はメッセージとして、エレベーターがロビーに到着した時には、厳しい現実の裏に優しさと愛が溢れたものとして表れていました。
本書は著者の実体験を経て描かれたものとの事。
銃を手に取り復讐を果たさんとする若者の姿を通じ、暴力や復讐の連鎖についてとその不毛さについて、そしてその世界でもどこかで踏みとどまる事によって開ける未来について語りかけており、特に若い人たちに手に取って頂きたい物語です。
ジェイソン・レナルズ 「エレベーター」