12歳の少年チャーリーは詐欺師である父ザカリアに協力し、奴隷解放運動の資金集めのためと協会から大金を巻き上げるのだが、その金を狙った悪党たちに父が目の前で殺される。
チャーリーは詐欺を働いた時に約束した通りに大金を届けるため、ひとり南へと向かう事を決意するのだが、父を殺した男たちは大金を狙ってチャーリーを追ってくる。
奴隷制度廃止運動の為と言いながら詐欺を働き教会から大金をせしめた父ザカリアとその息子のチャーリー。
しかしながらチャーリーはその詐欺がきっかけで父が殺され、一人きりで行動せざる得なくなります。
父と共に詐欺を働く中で体験した出来事。
それはチャーリーに羞恥心と信義心を呼び起こし、彼を贖罪の旅を行う事を決意させます。
その旅でチャーリーが出会う人々や遭遇した出来事は、全てチャーリーの血となり肉となっていくのですが、それは人が生来持ち合わせる優しさと、その反対である暴力性や残虐性に直面する中で、チャーリーの中の信念がより強くなっていくように描かれています。
12歳の少年が体験するものとしては辛すぎる出来事も多く、特にチャーリーが奴隷としてオークションにかけられる場面では、人間の尊厳が根こそぎ奪われるようで、読んでて胸が苦しくなりました。
しかしそれらを経て一人の人間として成長する様を、乾いているようで実はじっとり湿った描写でもって浮き上がるように描かれているため、いつしか胸を熱くさせられることもしばしば。
チャーリーが得た信念は人の優しさと愛に満ちており、終盤でチャーリーが男たちと握手をする場面で思わず感涙。
一人の男として成長したチャーリーの、その後の物語も知りたくなりました。
ボストン・テラン 「ひとり旅立つ少年よ」 (文春文庫)