【Amazon.co.jp 限定】ダン・ブラウン『オリジン』文庫上中下巻セット 特製MAP付
宗教象徴学者のラングドン教授は、元教え子のカーシュの誘いを受け、スペインのグッゲンハイム美術館を訪れていた。
カーシュが、“われわれはどこから来て、どこへ行くのか”という人類最大の謎を解き明かす映像を発表するというのだが、いよいよ発表という時になり悲劇が起こる。
〈ラングドン教授〉シリーズ5作目。
文庫になるのが早くて文庫で読んでるファンとしては嬉しいですね(笑)。
正直前作の『インフェルノ』は観光案内的要素が強くてサスペンスとしては乗り切れなかったんですが、本作は序盤からグイグイと引きこまれます。
でもその序盤で一番印象に残ったのは「♪let it go」だったりして(笑)。
さて、中盤に入るとラングドンたちは追手から逃げながら、非業の死を遂げたカーシュが発表しようとしていた世界を変えるという映像を求めてて様々な場所へ赴くことになります。
この辺りはシリーズでパターン化しているとはいえ、多くの情報量をそれぞれの場面を想像したり思い浮かべたり観光気分も味わせてくれながら、ドキドキするようなスリル感も忘れさせないダン・ブラウンの技巧は見事ですね。
そして今回、最も魅力的なのはヒロインではなくカーシュが開発したAIのウィンストン。
ラングドン達を導く彼の存在が、ともすれば絶望の淵へと誘い込む罠がラングドン達に待ち受ける中で、ユーモアさえ見せながら語るその言葉が全体的な雰囲気を和らげていることも本作を魅力的なものにしているようで、また、彼の存在が無ければラングドン達は助かる事もなく先へ進む事はできないのですが果たして彼を信じきっていいのか疑いの目を向けて読み進めました。
そしてウィンストンの導きとラングドンの閃きでもって、カーシュが残した映像をついに世界に公開されます。
それは人はどこから来てどこへ向かうのかという問いに答えを提示し、人の可能性と希望を描いてある意味前作とは対比されるようなものにも。
しかし科学と宗教といったテーマは多くの日本人にはもしかたら馴染み薄いものでしょうか。
いえ、むしろ八百万の神が宿る日本にこそ馴染みやすいのなのかも知れません。
因みに黒幕の正体は早々に思いついたので驚きは少なかったものの、それでも全体的に疾走感があり知的探究心も満たされ、ラングドンと共にその冒険を楽しむ事ができました。
ただ、ラングドンにはシリーズ初期で見せてくれたような、知性と閃きでもって活躍する場面をもっと用意してあげて欲しいかも(笑)。