真理省記録局に勤務するウィンストン・スミスは、そこで<歴史の改竄>作業を行っていたが、<ビッグ・フブラザー>率いる党の体制にかねてから疑念を持ち、ある時にそれは確信に変わっていた。
そんな中でジュリアからの告白を受け全てを監視する社会から逃れ二人で秘密の逢瀬を重ねるように。
さらには党内の高級党員オブライエンにシンパシーを感じ、現体制への不満を告白すると、ゴールドスタインという伝説的な人物が書いたという禁書を渡される。
平成から令和へと時代が変わるのをきっかけに再読した、変わらない怖さというものが溢れるディストピア小説。
思想警察に四六時中監視され、過去は改変され、あった事も無かった事になる世界で、決して消せない物があると信じた主人公が、最後に叫ぶシーンはいま読み返しても震えるものがあります。
時代が変わり色々なものが進化したとしても、いや、進化したからこそ、より情報操作により洗脳される世界というものに深化しているのかも知れません。
情報が溢れる世界で、自身でその情報は選んでいるはずで、そうすべき。
だけれど取捨すべき情報がいつの間にか全て偽物にすり替えられていたら、それは真実でしかなくなると思うと本当に恐ろしい。
現実、情報統制されていた過去というのは実際にあった訳で決して絵空事ではないだけに、本書がいつまでも読み継がれるべき作品として、いつでも自由に読める世界が続くよう、願ってやまないと同時に、そういう世界であるためには人の良心や努力が必要不可欠なのかも知れません。
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)