南米はブエノスアイレスに住む飛行機恐怖症精神科医クリューガーは、出産を間近に控えた娘に会うためにやむなく飛行機に乗り込む。
そんなクリューガーの元に電話が掛かり、相手は娘を誘拐し助けたければクリューガーが乗っている飛行機を落とす為に指示に従えと言う。
果たしてベルリンでは、クリューガーの娘のネレは何者かに誘拐され、監禁と陣痛の恐怖に中にいた。
主人公のクリューガーは、妻を亡くし、その時の事がきっかけで娘に嫌われ疎遠となっています。
しかし、その娘から出産時にはベルリンに来て欲しいと言われて、娘の元に向かおうとする中で起きる事件。
飛行機を落とせと言う謎の人物は、かつてクリューガーが治療を担当した患者の精神状態を壊して飛行機を落とせと指示をしてくる訳ですが、クリューガーがいかにその危機を脱するかが見ものなんですが、飛行機内での出来事と、地上での出来事の両方の視点から読者はその窮地から脱出する様を見届ける事になります。
著者の前作「乗客ナンバー23の消失」は著者らしい悪意が満ちたサスペンスで謎が謎を呼ぶ多重構造のような作品でしたが、一方、本作は前作ほど凝った構造ではなく、道筋的には一本に近いものが。
それだけに読者も物語を追う事に集中しやすく、閉鎖された空間と飛行機がベルリンに到着するまでという、迫るタイムリミットもあって前作以上に緊張感が畳みかけるように迫ります。
また主人公が抱えてた痛みが昇華されるようなラストも切ないながらも清々しいものがあり、読後感も悪くないので、前作よりもフィツェック初心者にお勧めしやすい作品かも知れませんね。
座席ナンバー7Aの恐怖