『イシイカナコが笑うなら』 額賀澪 | 固ゆで卵で行こう!

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イシイカナコが笑うなら

 

高校教師の菅野は生徒から慕われ、同僚からも信頼される教師。

そんな菅野は実は心の中に虚無感を抱えて教師という仕事に絶望に似たものを覚えているが、赴任した母校でかつての同級生イシイカナコの幽霊に出会い・・・。

 

 

 

母校に赴任した高校教師の菅野は、そこで自殺した同級生イシイカナコの幽霊に会い、彼女が提案してくる「人生やり直し事業」に参加する事になります。

 

果たして人生をやり直す事はできるのか。

 

そしてイシイカナコが自殺した本当の理由とは?

 

17歳の高校時代に戻った菅野は自身が未来に教師とならないように「やり直し」しようとするのだけれど、魂が飛ばされた先は自分の身体では無く、同級生の友人だったり女生徒のものだったりとするのが面白い設定ですね。

 

思い通り「やり直し」が出来ない菅野だけれど、他人の身体に入る事で初めて知る事も。

 

人生をやり直す事はできないけれど、軌道修正はいつだってできる。

 

自分を見つめ直し、周りを見る余裕っていうのはなかなか得る事はできないけれど、迷った時に立ち止まってみれば、もしかしたらほんの少しでもその先に希望が持てるんだよと背中を押してくれる応援歌のような物語でした。

 

 

しかし考えてみると主人公の菅野は、「自分の心をオフにしながらも「いい教師」を演じ続ける事ができるって、ある意味教師という職業は天職だったような気もしますね(笑)。

 

様々な問題を抱える今の時代、そうでもしないと教師なんてやってられないと思ってるような教師も実際にいそうですし、そういった方から見たら羨ましい能力だったりして。

 

もっとも、いつまでも心を閉ざしていると、いつかは閉ざされた中身がいっぱいになって破裂してしまうでしょうし、そうなる前に「やり直し」できるきっかけを得れた事は、菅野にとって、そして菅野に教わる生徒たちにとっても幸せな事だったのでしょう。