前漢時代の中国。
春の祭儀の準備を進める観(かん)一族の当主の妹が殺害される。
現場に通じる道には人の目があったはずなのに犯人はどこに消えたのか。
古礼の見聞を深めるため観家に滞在していた豪族の娘、於陵葵(おりょう・き)は事件に挑むが新たな事件が発生してしまう。
果たして四年前に起きた前当主一家惨殺との関係はあるのか・・・?
前漢時代を舞台に、豪族の巫女の少女が探偵役となり、訪れた地方貴族で起きた連続殺人事件に挑む華文ミステリ。
前半の漢文や宗教観などの蘊蓄、それに生々しい少女たちのやり取りについていけない部分があったのは否めません。
謎解きに予備知識は必要ないかも知れませんが、知っていればより動機についての理解が深く感じれたかも知れませんね。
しかし、動機となる根底にある抑圧された者達の想いや感情が迸る後半には心揺さぶられましたし、2度の読者への挑戦などはミステリに対する著者の真摯さの表れかとも感じました。
それにしてもエキセントリックとも見える少女たちの姿も含めて日本のアニメをやはり彷彿とさせられましたね。
特に初代ガンダムやZガンダムなどでよく見られたいきなり殴りかかったりするような場面など。
ちなみに百合云々という事を読む前に耳に入ってましたが、読んでてそんな風には特に感じはしなかったけど、自分の感覚が違うのかな。
デビュー作には著者の全てが詰まっているとはよく言われますが、後書での著者が自身の青春と語られているように、若さゆえの熱情が伝わってきて、欠点を上回るほど読後は印象深いものとして残りました。
元年春之祭 (ハヤカワ・ミステリ)