『誰かが足りない』 宮下奈都 | 固ゆで卵で行こう!

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時に映画やRockな日々。またDragonsを応援する日々。そして珈琲とスイーツな日々。

誰かが足りない (双葉文庫)

 

美味しいと評判で予約がなかなか取れないレストラン「ハライ」。

 

たまたま同じ日時にお店を訪れる事になる6組のお客さんたちの物語を描く短編集は、切なくなったり心が暖かくなったり、一歩踏み出す勇気をくれたりと、優しい気持ちになれる素敵な作品集でした。

 

実際に各物語で描かれるのは「ハライ」を訪れる事になるまでのお話。

 

いまの仕事に就いた事に関する不満や問題を抱えた青年。

認知症が進行しはじめているお婆さん。

管理職について問題を抱える女性。

ビデオカメラ越しでないと人と話せない引きこもりの青年。

拘りをもってオムレツを作る調理師の青年。

人の失敗の匂いを嗅ぎ取れてしまう女性。

 

それぞれの人間模様がさらりと、でも深い愛情でもって描かれているように感じます。

 

足りない誰かとはやはり何よりも大切に想う人、想っていた人。

 

決して同じ刻を過ごす事はできなくても、それまで感じてきたものを受け止める事で笑顔になれれば人生はより素敵なものになるかも。