翻訳ミステリー読書会「福井特別読書会」に参加しました。 | 固ゆで卵で行こう!

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今年最後の個人的ビッグイベントである翻訳ミステリー読書会の「福井特別読書会」、今月15日に開催されたので参加してきました。

 

翻訳ミステリー読書会は関西翻訳ミステリー読書会に6年ほど前に一度だけ参加した事ありますが(その時のレポはこちら)、それ以来の参加です。

 

今回は金沢読書会の世話人さん達が特別に福井で開催してくださいました。

 

地元で開催、それも翻訳家の越前敏弥さん、それに福井出身の作家・宮下奈都さんも参加されるという事で、こんな機会を逃すわけにはいかないですよね(笑)。

 

課題書はスティーブ・ハミルトンの『解錠師』。

「このミステリーがすごい!2013年版海外編」、「2012年週刊文春ミステリーベスト10海外部門」で第1位を獲得している名作です。

 

本書が発売された当時に自分も読んでいましたが、今回の読書会にあわせて再読してその日を迎えました。

 

当日、読書会は自己紹介を順番に行った後、世話人様からランダムで当てられた参加者が、それぞれ感想や意見などを話していくというスタイル。

 

参加者の皆さんの感想や意見は、共感するものや新たな発見があるものなど様々で面白かったですね~。

 

いくつかピックアックしてみると・・・

 

・心理療法でプレイセラピーというのがあり、主人公のマイクルが解錠する事が自身のトラウマを抜け出す事に繋がっているのでは。

 

・話す事ができないマイクルがアメリアとコミックで会話する様子などは実際にコミックで読んでみたい。

 

・鍵を開けるシーンは嵐の大野君が主演したドラマ「鍵のかかった部屋」の解錠シーンをイメージして読んだ。

 

・翻訳された越前さんはマイクルは嵐の二宮君をイメージしたと聞いたが、他の俳優さんもイメージ(リバー・フェニックス、若い頃のレオナルド・ディカプリオなどなど)。

 

・鍵を開けるシーンが官能的。

 

・いくつもの時系列で描かれているので、いま流行りの信用できない語り手によるものなのか、叙述トリックなのかと思った(笑)。

 

・アメリアの包容力はどうなのか。マイクルと生活する事になっても2~3年で離婚しちゃうのでは(笑)。

 

・ラスボスが○○○なのは拍子抜けした(笑)。最後はやはり技術力で勝負して欲しかった。

 

・マイクルが組むプロ中のプロの集団、そう言われる割にはチームワークがお粗末なのでは。

 

・自分自身が助かる為にマイクルを悪の道に引き入れる事にしたアメリアの父はどうにかならないの?

 

・作中でバンクスは突然名前が出てくるので、最初は誰なのか分からない。

 

・マイクルが鍵を開け続ける事で自身の心の扉を開けていく事に繋がっているのでは。

 

他には実際に数字を組み合わせて開ける鍵を使いながら読んで、鍵が開く感覚を実際に感じとっていた方もいらっしゃいました(笑)。

 

そして特別ゲストの宮下さんは、鍵を開ける場面にうっとりした事や、美少年な完璧な主人公を描くのは勇気がいる事だと思い、だからこそ最後までマイクルが喋らないで欲しいと感じたそうです。

 

また、越前さんは、本書がミステリなのかと言う声があるが、時系列を繋いでいくのが最大のミステリとなっていると思うとの事。

ラスボスが○○○なのは、著者による皮肉が込められていとも読める事。

ハミルトンを訳す時は他の作家さんのよりひらがなが多めにしている事などを語って下さいました。

 

自分自身は初読時はやはり主人公マイクルの成長を描いた青春物語であり恋愛物語であるとの印象が強く、クライム・サスペンスとしての部分は記憶からかなり抜け落ちてました。

 

しかし再読してみると、恋愛ものとしては年を取ったせいか斜に構えて読んでしまい、すっかり自分の心も汚れちまったなと思ったりして(笑)。

 

その反面、クライム・サスペンスとして著者が仕掛けている仕組みが秀逸だと感じたものですし、やはりハードボイルド好きとしては痩せ我慢の美学ではないですが、マイクルが好きな少女のために自身を犠牲にして奮闘する姿に憧れに似たものを感じました。

 

 

さて、読書会自体は2時間で、あっという間でした。

 

意外に地元からの参加者がびっくりするほど少なかったのは残念でしたが、濃くて楽しい時間が過ごせましたし、またこういう機会があれば是非とも参加したいもんです。

 

 

ちなみに懇親会にも参加させていただきましたが、そちらも楽しくあっという間に御開きの時間になってしまいました。

 

でも、越前さんや宮下さんに訊いてみたいと思ってた事も訊けましたし、その質問にも気さくにお答え下さり、すっかりお二人のファンになってしまいました(笑)。

 

でも、本当は他にも色々訊きたい事があったはずなんですが、やはり緊張して訊きたい事もとんでしまった事が心残りかも(笑)。

 

 

あ、余談ですが読書会には今年のミステリランキングで上位に入っていた「元年春之祭」の著者、陸秋槎氏も参加されておりビックリ。

 

懇親会では知られざる(?)氏の趣味などのお話も聞けて楽しかったんですが、著作を読んでないどころか持ってもいなかったので、思わず読書会の後に開催された越前さんと宮下さんのトークイベントが始まる前に、妻に著作を買っておいてもらってサインして頂きました(笑)。

 

 

それにしても最初にゲストが決まっていての開催だったとの事ですが、今回企画しお世話してくださった方々には感謝です。

 

そして厚かましくも、是非ともまた開催して欲しいと願うところです(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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