19世紀のロンドンの裏通り。
エドワード・グランプトンはある男に復讐を果たすためにナイフを手に見ず知らずの男に襲いかかる。
果たしてエドワードはいかに復讐を果たすための半生を過ごしてきたのか・・・。
実はこの作品、刊行された当時に購入したのはいいのですが、そのボリュームに尻込みして7年半も寝かせてました(;´▽`A``
ようやく重い腰を上げて読み始めたのはいいのですが、最初は読んでも読んでも進まない気がしました。
しかしながら上下組で600ページで重厚でありながらも読みやすく、注釈にあまり気に取られないようにすれば、意外にすいすい読めるような気も。
主人公のエドワードは自分の本当の出自を知り、本来あるべき立場を取り戻すためにその証拠を掴もうと調査を地道に進めるものの、その前に立ちはだかるのは、かつてイートン校放校に陥れた仇敵である詩人のフィーバス・ドーント。
よりにもよってフィーバスは、エドワードの父と思われる男爵の寵愛を受けており、更にはエドワードが愛するようになる女性を巡るライバルでもある存在となって現れます。
正直言うと、冒頭で見ず知らずの他人を自身が復讐を果たす為の道具として殺害するエドワードには感情移入しにくかったです。
それでもいつしか主人公が復讐を果たさんと応援したくなったのは不思議です。
それはエドワードが関わった人たちにとっては愛される存在であった事や、物語に漂う19世紀の雰囲気のせいでしょうか。
それだけにエドワードが復讐に捉われずに生きる事ができたら、エドワードの未来はどうなっていたのかと想像を巡らずはいられませんでした。
それにしても、仇敵のフィーバス側の視点もあるとより深い物語になったような気もしますが、壮大ながらどこか間の抜けたようなところもある復讐劇を堪能する事ができましたね。
続編ももし翻訳されたら読んでみたいです。
夜の真義を