『暗殺者の潜入』 マーク・グリーニー | 固ゆで卵で行こう!

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“グレイマン(人目につかない男)”と呼ばれる暗殺者ジェントリーは、パリにあるシリアの亡命者組織から、シリアの独裁者アッザムの愛人ビアンカを拉致するという依頼を実行する。

 

 

 

プロローグ、グレイマンことジェントリーが絶体絶命の危機に陥っている様子が読者の目の前に。

 

果たしてどのような経緯でこのような事態に陥ったのか気になりながら本編に入ります。

 

今回ジェントリーは、CIAのアセット(資産)としてではなく、フリーランスという立場で依頼を受け、自身の中の正義に折り合いをつけて、シリアの独裁政権を倒すために不可能とも思えるミッションに命懸けで挑みます。

 

物語自体は前作などに比べると複雑ではない分、序盤からジェントリーが活躍する場面がたっぷりと楽しめます。

 

プロフェッショナルでありながらも、甘さというか義侠心というか浪花節ともいうべきものを捨てられないジェントリー。

 

シリアに単身潜入し途方もないミッションに挑む様子は、場当たり的といえば聞こえが悪いですが、目の前にあるものを利用し、臨機応変に行動する姿にハラハラドキドキさせられます。

 

周りは敵だらけという四面楚歌の状態のジェントリーの奮闘ぶりに、最後の最後まで気が抜けず、興奮状態のまま一気に読ませる展開と、それを作りあげる著者の力量は見事。

 

また、巻末の解説によると、来年もグレイマンの活躍が見れるようで冒険小説ファンにはそれが何よりも嬉しいニュースです。