『犯罪者 クリミナル』 太田愛 | 固ゆで卵で行こう!

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白昼、駅前の広場で通り魔事件が発生、5人が犠牲となる。

その犠牲者の中で唯一の生存者である修司は、病院で見知らぬ男から「あと10日生き延びれば助かる」と言葉を投げかけられる。

 

 

 

通り魔殺人事件に巻き込まれた青年、修司。

しかし事件は偶然ではなく仕組まれたものだった?!

裏にはある事件を隠蔽するための動きが。

その事件を明るみにしようとする者と、事件そのものを追うことになる修司に鑓水、そして命を狙われる修司を守ろうとするはみ出し者の刑事である相馬の三人を中心に物語は描かれるサスペンスで、本書は人気ドラマ「相棒」の脚本家でもある著者のデビュー作。

 

実はシリーズ物と知らずに、先に二作目の『幻夏』を読んでしまったものの、そちらが大変良かったので本書も手に取る事にしました。

 

 

さて、通り魔事件から始まった物語ですが、その裏には幼児に発生した奇病がありました。

 

その原因が事件に関わる人物たちの運命を大きく変えることになります。

 

事件を明るみにすることで誠意を見せたいと考える者。

 

ただ事件を明るみにするだけではいけず、その先をも考える者。

 

そして事件をどんな手段を使っても隠そうとする者。

 

更に事件に巻き込まれ、生き残るために戦う者たち。

 

また、奇病に襲われた我が子を慈しむ者たちの切実なる想い。

 

彼らの想いや行動が複雑に絡み合って怒涛のように、そしてめまぐるしく展開していく様子は、事態に翻弄されながらも必死で行動する主人公たちを応援するように一気読みさせられました。

 

ちょっと強引かと思う点もあるかと思いますし、事件そのものは決して読後感がいいものではない結末を迎えますが、登場人物達の心情に胸が熱くなる社会派サスペンスでした。