『満潮』 シッラ&ロルフ・ボリリンド | 固ゆで卵で行こう!

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警察大学の学生オリヴィアは夏休みの課題に、刑事だった亡き父が担当していたというノードコステル島の砂浜に臨月の女性が生きたまま埋められて溺死させられたという二十数年前の未解決殺人事件を調べる事にし、オリヴィアは話を聞こうと、当時父親の同僚だった男を捜し始める。

一方、ホームレスが暴行されてその様子の動画がネット上に公開されるという事件が続いており・・・。





警察大学の学生オリヴィアが主人公ではあるけど、いくつもの視点で描かれているので主人公色は薄いですね。


警官であった亡き父が手掛けていた未解決事件に関わるオリヴィアは事件を調べるうちに、ある理由で既に退職していた事件を担当していた元捜査官が路上生活者の中にいる事を発見し、そこから事件は思いもよらぬ事実を浮き彫りにさせていきます。


しかしながら登場人物が多いせいで、思わず少し戻って確認する事もしばしば(笑)。


それでも、その登場人物それぞれに個性があり、事件の真相も気になり読み進めたんですが、なんにせよ色んな物事や人物が繋がり過ぎな印象を受けました。


偶然にしては少々過ぎるので、もうちょっと絞って描いた方が物語が散漫にならずに済んだのではないかと、読みながら気になってしまう部分が。


ただ、<マルティン・ベック>のTVシリーズを手掛ける脚本家が手掛けているという事で、場面展開などが上手く、テンポも良くてリーダビリティは高いです。


なので、次へ次へと読み進めたくて、何度も登場人物を確認しながら読んだわりには一気に読む事が出来ましたね。


ちょっと残念だったのは、美しいという主人公のオリヴィアが意外と普通の人物であったところ。

どこか優秀な捜査官になりそうな片鱗を見せて欲しかったところでしょうか。

もっとも、最後に明かされる事柄にはちょっと驚きましたが。


さて、そんなオリヴィアが今後どのように成長していくのかも含め、続編も楽しみに待ちたいところです。