君はレフティ
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夏休み、交通事故で漕いでいた自転車ごと湖に落ちた古谷野真樹。
命に別状はなかったが、事故の後遺症で記憶を失ったまま二学期を迎える。
家族の事もクラスメイトの事も思い出せない中、暖かく迎えてくれるクラスメイトや、同じ写真部だという生駒桂佑と春日まどかの友情を受けて、新たな日常を築いていくかと思えたが、文化祭の準備に追われる最中に発生した落書き事件を皮切りに、古谷野に向けたと思われる謎のメッセージが・・・。
事故で記憶を失った古谷野が決して忘れてはいけなかった記憶。
それは主人公と同じ写真部の生駒と春日の二人が抱えていた想い。
記憶を失っても古谷野は古谷野である様子に生駒と春日は複雑な想いで見つめ、それぞれが優しさをぶつけ合う姿に胸が苦しくなります。
「記憶を失くしてもどんなに変わってもずっと友達でいると決めた」と言われる古谷野。
そんな風に思われる友が出来るのはもしかしたら青春時代だけかも知れず、そんな風に誰かから思われたり、誰かを思ったり出来る自分でいられたらと、自分自身を振り返ってしまいたくなりました。
ところで、「レフティ」が差していた事実について、ある程度は予想がついていましたが、そういう内容でありながら、爽やかでありながらも胸を締め付けるような切なさでもって読者を惹きつけてくれますね。
今後も著者の作品は追いかけていきたいと思っています。