『過ぎ去りし世界』 デニス・ルヘイン | 固ゆで卵で行こう!

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過ぎ去りし世界 (ハヤカワ・ミステリ1906) 過ぎ去りし世界 (ハヤカワ・ミステリ1906)
デニス・ルヘイン 加賀山 卓朗

早川書房 2016-04-07
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ギャングの世界の第一線から退き、組織の顧問役となって様々な事業を手掛ける実力者としての地位を不動にしたジョー・コグリン。

そんなジョーのもとに彼の命を狙っているものがいるとの情報が。

果たしてジョーの命を狙うものは本当にいるのか。

組織内の内紛が勃発する中でジョーが下す決断の行方は・・・。





「運命の日」「夜に生きる」に続くコグリン・シリーズ三部作の完結編。



愛する妻を失い、ギャングとしては第一線を退くも、逆にその実力者としての地位を確立したジョー。


そんなジョーの前に時折現れる子供の幻は何を示唆しているのか。


哀しみの予感に震えながらも、ジョーへの暗殺計画の真偽という一つの謎を軸に、仲間内での縄張り争いといった悩みや、妻を失って以来はじめて得る恋人への想いに、一人息子への愛情。


そして何よりもギャングの世界で得た仲間への信頼や友情が、ジョーへの暗殺計画が目に見え始めた後半に、怒涛のように様々な感情を揺さぶりかけてきます。


ルヘインが描く情景には、どこか、この世界に生きるものへの優しさが表れているようで、過ぎ去っていく時が、ギャングたちの非情で無情溢れる生き様の果てを、切ないまでも描かれていて、その読後感は苦しくも胸がいっぱいになるものでした。



ところでコグリン・シリーズ一作目の「運命の日」は未読でも、本書を読むならば、傑作「夜に生きる」をまずは手に取って欲しいですね。