2015年7月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2391ページ
ナイス数:247ナイス
禁忌
の感想
なんとも言えない読了感に包まれました。共感覚を持つ写真家ゼバスティアンが殺人容疑で起訴されるものの、ゼバスティアンが弁護を依頼した弁護士ビーグラーに託したものは法廷である真実を明らかにします。その法廷劇で描かれる「罪」や「善と悪」、そして「正義」や真実そのものの曖昧さといったものの本質はゼバスティアンを通じて、人間の本質といったものに言及しているのでしょうか。そして、この読み終えた時の曖昧な気持ちもまた人間の本質のうちのひとつなのかも。
読了日:7月28日 著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
白光の召喚者 (魔法師グリーシャの騎士団)
の感想
三部作完結編。絶望の中で一筋の希望の光をアリーナが見付けたものは更なる絶望でした。そこに至るまでも登場人物たちも最初に登場した時とは印象が変わってそれぞれに感情移入できるように、闇の王の孤独や絶望、そして渇望といったものが描かれているので、より物語に深みを感じれました。そして迎えた最終決戦の行方は・・・。ハッピーエンドだけれどもどこか物悲しくもあるのは「指輪物語」を読んだ時のようでもありました。映画化の権利は既にという事ですが、是非とも重厚な映像を見せて欲しいですね。
読了日:7月27日 著者:リー・バーデュゴ
屋上のウインドノーツ
の感想
引っ込み思案で自分に自信が無い志音が小さい頃から全てにおいて頼ってきた唯一の友達、瑠璃とは別の高校に進んだ本当の理由は、どす黒くて自身を更に嫌いになりそうなもの。けれども、自分の殻に閉じこもっていた志音を引っ張り上げてくれた吹奏楽部部長の大志によって、自分自身が変わる事によって世界が開けて行きます。また。実はずっと傷を抱えてきた大志も志音によって自身の殻を破る事が出来る様子も合わせて描かれいるのですが、二人のその姿は実に鮮やかで清々しく描かれています。「今の自分、結構好きだし」と胸を張って言いたいですね。
読了日:7月22日 著者:額賀澪
岩窟姫 (文芸書)
の感想
アイドルの友人、沙霧の自殺の原因は蓮美のいじめによるもの?!蓮美というタレントは今回の件で死んだと、自分自身の復讐を果たす為、そして自身の無実を証明する為に動き出す蓮美。誰も信じれない中で辿り着く真実はネットで拡散される事の恐ろしさや、女性タレントの商品価値といったどろっとした現実などをサラっと描きつつ、蓮美自身が生まれ変わる様子を描いてます。蓮美の事を指していると思われていた「岩窟姫」というタイトルの真の意味が明らかにされるラストの描き方は「サクリファイス」シリーズの作者らしい感じでしたね。
読了日:7月16日 著者:近藤史恵
スマイルメイカー
の感想
3台のタクシー、それぞれで繰り広げられる物語。偶然が連続しているかのように見える展開はまるでパルプ・フィクション。しかしながらそれらがどのように繋がっていくのか。場面ごとに、そして時系列も変化を見せながら、本書の主人公であるタクシードライバーがお客さんに笑顔で降りてもらうように、読者も最後には笑顔にさせられる爽快感をもたらせてくれます。作中に散りばめられた伏線を一気に回収してくれた後で、物語そのものとは関係ないけど更に読者をミスリードさせてきた事に最後の最後で気付かせてくれるのが予想外でしたね(笑)。
読了日:7月12日 著者:横関大
ヒトリコ
の感想
小学5年生の時にクラスの金魚を殺したと濡れ衣を着せられて以来いじめの対象となり、「関わらなくてもいい人とは、関わらない」と孤高の存在であらんとして「ヒトリコ」となった日都子が高校生になった時、もともと金魚を飼いだし転校していった冬希が戻ってきてから変化が訪れます。日都子だけでなく、いじめる側になった嘉穂も、幼馴染の明仁、それに冬希にもそれぞれ痛みを抱えていて、繊細に彼女らの内面などを描いている様子はともすれば嫌悪感でいっぱいになりそう。しかし怪獣のバラードが示す先が見えて爽やかな読後感で満たされました。
読了日:7月10日 著者:額賀澪
コリーニ事件
の感想
無駄なく、淡々と物語は進み、その平坦な語り口によって最初は夢中になるほどではなかったです。しかしながら、裁判が進みいよいよ崖っぷちとなった時に主人公の弁護士が事件の真相について閃いた後は一気でした。主人公が弁護士となった矜持。それが核となっていて、また、その事について改めて自身が決意するような場面が静かに描かれている部分が冷めた文章でありながらも、事件の背景にあった事実の衝撃もあって、そこに熱さを感じる事ができた。
読了日:7月6日 著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
スナイパーの誇り(下) (扶桑社ミステリー)
の感想
過去と現在を交互に描かれ、サスペンス度があがり謎が明かされていくので下巻に入ってからはアクションシーンもあって盛り上がりを見せます。しかしながらボブがミリに魅せられる動機づけやモサドのくだりなどはどうしても弱く感じるのが欠点でしょうか。何よりも魅力的なのは、「鷲は舞い降りた」のクルト・シュタイナーを思い起こされるドイツ降下猟兵指揮官のドゥレールだったりするので、むしろ彼のパートをもっと読みたいと思ってしまった(笑)。
読了日:7月4日 著者:スティーヴン・ハンター
読書メーター
7月は8冊のみ。
6月よりは読めたと言えるかも知れませんが、なんだかんだで忙しくて思ったより読めずガッカリ。
そんな中での収穫は額賀澪の『ヒトリコ』。
図書館で借りた本ですが、とても良かったので勢いで著者の同時デビュー作であるよいう『屋上のウインドノーツ』は購入して読んでしまいました(笑)。
さて、猛暑続く中、8月突入です。
暑さに負けずに8月こそは二ケタ読みたいところです。