『ありふれた祈り』 ウィリアム・ケント・クルーガー | 固ゆで卵で行こう!

固ゆで卵で行こう!

ハードボイルド・冒険小説をメインにした読書の日々。


時に映画やRockな日々。またDragonsを応援する日々。そして珈琲とスイーツな日々。

ありふれた祈り (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) ありふれた祈り (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
ウィリアム ケント クルーガー William Kent Krueger 宇佐川 晶子

早川書房 2014-12-10
売り上げランキング : 13796

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ミネソタの保守的な田舎で牧師の父と芸術家肌の母、音楽の才能のある姉、そして聡明ではあるけれど吃音症の弟を持つ13歳の少年フランク。

一人の少年の死から始まった夏で、フランクはいくつもの死と向き合う事になる。




1961年ミネソタ州ニューブレーメンという小さな保守的な町で一人の少年の死から始る短い夏の間の死と再生。

そして主人公の少年フランクの成長と事件に関わった人々の許しを描いたミステリ。


なんと言っても、ひとつの家族を襲った不幸を、現代にも通じるような差別や家族、友情や愛情を描きながら、フランクの家族と関わる人たちそれぞれに血肉を与えられて丁寧に描かれている為に、タイトルの「ありふれた祈り」の場面では思わず心が震えるのでしょう。


事件の真相に関しては途中でだいたい想像がついてしまうのですが、不幸な事件にも関わらず読後感がよく、ひとつひとつの場面が読了後も鮮やかに蘇ってきて余韻に浸る事が出来る、昨年の「このミス」でもランクインしたのも納得の、なんというか良心的な佳作です。