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プロ棋士を目指していたものの挫折した瀬尾。
そんな瀬尾はあるとき公園で金髪碧眼の少女サラに出会うのだが、言葉のやり取りに不自由するサラに将棋の才能を感じ教え込むうちに、やがてサラが言葉の中と盤上に“景色”を見る異才の持ち主である事が分かる。
果たしてサラの才能は将棋界に新しい風を吹き込むのか。
将棋の世界に現れた金髪碧眼のコミュニケーション能力に欠けた少女を中心にした三人の女性棋士の物語。
将棋の世界の厳しい現実は才能という言葉で本当に片付けられてしまうのかどうかは分からないですが、盤上で繰り広げられる小さな世界は、サラの打つ手によって可能性や未来、そして希望を見せてくれる中、終盤、サラと女流名人の塔子の対局シーンでは思わず背中がぞくぞくとさせてくれました。
また、小学生の頃に矢倉や穴熊など覚えて将棋を楽しんだ記憶が蘇りましたねぇ。
しかし視点が何度も何度も変わる事で、若干読みにくい部分があったのはちょっと残念なところでしょうか。
物語にのめり込めそうなところで場面がころころ変わる為に、一旦この世界から切り離されたような感覚を持ってしまいました。
でも、続編も出ているとの事で、サラに敗れて一度は棋士になる事を諦めるも再び駒を持つようになった七海の今後も知りたいですし、そちらも文庫になったら是非とも読んでみたいものです。
