読んだ本の数:9冊
読んだページ数:3328ページ
ナイス数:248ナイス
ゴーストマン 時限紙幣
の感想
なんとも映像向け。ゴーストマンと自身の事を呼ぶ主人公の一人称で語られるクライム・ノベル。クアランプールでの過去の失敗には肩透かしを食らい、現在進行形で語られる事柄にもやや強引なところも見受けられる点は残念だけど、「時限紙幣」をめぐり主人公が仕掛けるものは自身の命をもチップにしたドルマークのついていない高揚感の為と思えば納得させられる。主人公の語り口とスリリングな展開はクールの一言で、何よりもその点が本書の一番の魅力でしょう。師匠であるアンジェラ共々再登場を期待したい。
読了日:9月25日 著者:ロジャーホッブズ
虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)
の感想
虐殺器官の“器官”の意味を知り、それが世界に浸透させる様子には寒気さえ覚えます。テロとの戦いの末に徹底した管理体制を敷く世界を舞台に、政府の暗殺機関に属する主人公クラヴィス・シェパードが虐殺の王ジョン・ポールを追い、ジョン・ポールのかつての恋人に出会い、そしてジョン・ポールの言葉でもって自身のアイデンティティと向き合い、選択の結果としての自由を背負うのは大きな罪で、その選択はやるせなくとても重いものの、なぜだかどこか安らぎに満ちてもいるのが、より切ないものを覚えさせる。
読了日:9月24日 著者:伊藤計劃
コードネームを忘れた男(下) (新潮文庫)
の感想
前作がとても楽しく読めたので期待し過ぎたせいか、前作ほどはのめり込めなかったですね。誰が敵で味方なのか区別もつけられない状況に陥るチャーリーとドラモンド。危機的状況で目覚めるドラモンドの活躍でもって窮地を脱する場面はもちろんあるものの、そのドラモンド以上に成長したチャーリーの活躍する場面がポイントとなっているのが逆にマイナスポイントでもあったのかも。しかし読みながらチャーリーもスパイとしての能力が覚醒しつつあるなぁと思っていたら、ラストはそう来ましたか。更なる続編もあったりするのでしょうか。
読了日:9月21日 著者:キーストムスン
コードネームを忘れた男(上) (新潮文庫)
の感想
「ぼくを忘れたスパイ」の続編。アルツハイマー病を患う元敏腕スパイの父親と息子のチャーリーとのやり取りはまるでコントですね。アリスが誘拐され、犯人からの要求は例の洗濯機型爆弾。めまぐるしく場面は展開しつつ下巻へ。
読了日:9月21日 著者:キーストムスン
火星の人 (ハヤカワ文庫SF)
の感想
事故により死亡したと思われ一人火星に取り残されたマーク・ワトニー。植物学者であるマークが些細な事でも死に直結する過酷な環境の中で生き残るべく模索していく様は、絶望にかられる訳ではなく常にユーモアを忘れないモノローグと、彼が生きている事を知ったNASAが救出に向けて動くミッションの緊張感との緩急のバランスもあって、ハード系のSF読みでないと分からない部分がある中、ハードSFが苦手な自分のようなものであっても物語に没頭でき、マークの救出劇をハラハラドキドキしながら見守る事ができました。
読了日:9月17日 著者:アンディ・ウィアー
その女アレックス (文春文庫)
の感想
誘拐、監禁もののサスペンスと思い読み進めると裏切られる第二部に突入するのだけれど、更に読者の予想を裏切るように第三部へとなだれ込む様子は読者を惹きつけてやまない。アレックスの真実とそれを知った捜査陣の決断も胸を打つのですが、サスペンスやバイオレンス、そしてミステリとしての楽しみをより盛り上げてくれるのは、今回の事件を通して描かれる身長145センチの刑事の再生の物語。シリーズ二作目らしいですが、実に面白かったです。ぜひ一作目も邦訳して欲しく、また三作目以降の紹介もお願いしたいです。
読了日:9月14日 著者:ピエールルメートル
赤く微笑む春 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
の感想
シリーズ三作目。エルフとトロールの仕業だと信じていた事柄はやはり人間の仕業であって、そこに人間の業の深さや哀しみが感じられます。過去の事柄と現在が交互に描かれていく中で、イェルロフ元船長が真実のかけらを見付けた時、未来へと仄かに照らすような光を感じれるような余韻が残るラストは美しくさえもあります。次作でシリーズは完結との事ですが、老齢のイェルロフ爺さんが何より心配で読むのが怖いです。
読了日:9月8日 著者:ヨハン・テオリン,JohanTheorin
魔界都市ブルース 鬼郷の章 (マン・サーチャー・シリーズ13)
の感想
〈魔界都市ブルース〉は久しぶりの“マン・サーチャー・シリーズ”で、やはり短編のせつらものは魔界都市に住む者の強さや哀切さが強く表れて好きです。また、今回は“わたし”にも会えたのが何よりも嬉しい。最近“わたし”の出番が少なく寂しいところなので、そろそろ“わたし”が活躍する長編も読みたいですね。
読了日:9月5日 著者:菊地秀行
ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)
の感想
WatchMeをインストールされ、全てが外注によって健康的かつ健全なるユートピアたる世界で自分自身である事を欲しながら、その究極たる選択の行く末は新たなユートピアである調和された世界。決してハッピーエンドではないけれど、それでもハッピーエンドである物語を示すものを描いたラストでこのハーモニーは完成されたかに見える。けれども世界にはWatchMeをインストールしていない人々がいる。それによって世界は新たな可能性を見せるのか。著者が描きたかったであろうその先を見る事が敵わないのが実に残念です。
読了日:9月1日 著者:伊藤計劃
読書メーター
9月は9冊読了。
ミステリでは『その女アレックス』が今月の一押し。
『赤く微笑む春』も良かったです。
SFでは伊東計劃の二作品は話題になっただけある内容。
読み終えてしばらく経っても印象はいつまでも残っています。
また、『火星の人』も面白かったですね~。
さぁ、10月は読書の秋本番て事でもりもり読んでいきましょう!