『消失グラデーション』 長沢樹 | 固ゆで卵で行こう!

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消失グラデーション (角川文庫)消失グラデーション (角川文庫)
長沢 樹

KADOKAWA/角川書店 2014-02-25
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バスケ部員の椎名康は、読者モデルもしている女子バスケのエースが屋上から転落する場面を目撃する。

椎名は転落箇所へと走るが、現場は転落した様子はあるけれど肝心の転落した少女の姿は無かった。

そしてその場で椎名は何者かに襲われて気を失い、目覚めた時には上着を脱がされていた。

果たして転落した少女はどこに、なぜ消えたのか。

そして誰にも目撃されずに逃走したと思われる犯人は?!




多くの方が最も騙されたと思ったのは読者の期待を煽る出版社のコピーだったのではないでしょうか。

第31回横溝正史ミステリ大賞受賞作なのですが、それだけじゃなくて綾辻行人氏や馳星周氏の賛辞には、大きな期待をもって読まない読者がいないはずないです(笑)。


まず、最大の謎と思われる“消失”に関しては多くの方も予想できる事じゃないでしょうか。


ただそれは著者がメインに据えている事ではなく、叙述トリックに絡めた登場人物の心の機微などを楽しむミステリとしては満足できるかも。


しかし読者をミスリードさせる事に関しては、ちょっと“過ぎる”感が。

偶然にしては“それ”に関して多過ぎる登場人物はちょっと不自然じゃないでしょうか。


ま、自分は知らないだけで実は近くにもそういう方は沢山いて、それが表面に現れればこういう事もあるのかと納得させるしかないのかも。


それを置いといても“ヒカル”に関しては投げっ放しで、単発物で見るには厳しい評価を下すしかないのでは。


ところで本作はシリーズものとして続いています。

デビュー作で投げっぱなしなのはどうかと思いますが、その辺も含めて気になるので、続編が文庫になればきっと読んでしまうでしょう(笑)。