『夜に生きる』 デニス・ルヘイン | 固ゆで卵で行こう!

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夜に生きる 〔ハヤカワ・ミステリ1869〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 夜に生きる 〔ハヤカワ・ミステリ1869〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
デニス・ルヘイン 加賀山卓朗

早川書房 2013-03-08
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市警幹部の息子でありながら、ギャングの手下となっているジョー。

強盗に入った賭博場でひとりの女性と出会い惹かる。

その女性、エマを忘れられないジョーは、エマが対立組織の情婦と知りながらもエマに近づき、二人は恋に陥る。

やがてギャング同士の抗争が起こり、ジョーはエマに恋しているがゆえに運命の歯車が狂っていく。




大作『運命の日』の続編です。

しかしながら前作を読んでいなくとも楽しめる作品となっています。

実際、自分も前作の詳しい内容は忘れていましたが、じゅうにぶんに楽しめました。


舞台は禁酒法時代のボストンで始まります。

市警幹部の息子であるジョーでありますが、無法者として生きることを選びギャングの手下となっています。

しかし、強盗先で出会った女性エマと出会い恋に落ちた事でジョーの運命は大きく動くことになっていきます。


囚人となりながらも、やがてギャングの大物として成り上がっていく様子が、暴力描写が散りばめながらも、友情や愛情、そして自身の信義といったもので彩られながらジョーの人生が描かれており、クライム・ノワールとして主人公のジョーが「夜に生きる」無法者であろうとするのだけれど、ギャングとしてのし上がっていく中でも、どこか純粋なものを芯といか核として持っている様子が好ましくも切ないものを感じさせてくれました。


決して派手な描写があるわけでもなく、劇的な展開を派手に見せているわけではないのですが、実に味わい深く、読み終えた時に嘆息を禁じえなかったです。