『尋問請負人』 マーク・アレン・スミス | 固ゆで卵で行こう!

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尋問請負人 (ハヤカワ文庫 NV) 尋問請負人 (ハヤカワ文庫 NV)
マーク・アレン・スミス 山中 朝晶

早川書房 2012-05-05
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尋問のスペシャリストとして、その卓越した技術でもって政府機関や民間企業、犯罪組織からも依頼を受けていたガイガー。

しかし、ガイガー自身はなぜそのような技術を自分が持っているのかを含め、自身の過去を失っていた。

そんなガイガーは仕事を受ける上でいくつかのルールを守ってきたのだが、ある時、そのルールを破って子供を尋問する事になるのだが・・・。




情報獲得業者-尋問請負人-、その特殊な技術はどのように得たのか。

そして失われた過去は・・・といった謎がある中で、逸脱し始めた自分自身がきっかけで陰謀の渦中に入り込み、仕事のパートナーのハリーとともに追われる身となる主人公を中心にサスペンスフルに描かれ、中盤以降は一気に読ませます。

自身のルールを守り続けてきた主人公がそのルールを自ら破る時、失われた人間性や過去がうっすらとだけど浮かび上がってくる様子が良かったです。


しかし、タイトルから受ける印象とは違った内容にがっかりするといった方も多いかも知れないですね。

尋問請負人である主人公が尋問のスペシャリストとして実際に尋問をしている場面が序盤こそあるものの、物語が動き始めると、主人公と相棒のハリーたちは追手から逃れようとし、それがメインとなりつつ物語が転がっていきます。


尋問のスペシャリストである主人公が逆に尋問を受ける場面を含め、読み応えはじゅうぶんですが、尋問そのものが見たい読みたいと期待する肩透かしを食うので、ちょっと注意が必要かも知れないですね(笑)。