『沈底魚』 曽根圭介 | 固ゆで卵で行こう!

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沈底魚 (講談社文庫) 沈底魚 (講談社文庫)
曽根 圭介

講談社 2010-08-12
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米国に亡命した中国外交官により、日本の現職国会議員に眠れるスパイ「沈底魚」がいるという情報はもたらされる。

一度はガセネタだと判ぜられるが、信憑性のある情報もあって公安刑事たちは極秘に捜査を始める。





第53回江戸川乱歩賞受賞作です。


現職国会議員に眠れるスパイ「沈底魚」がいるという情報を得て、警視庁外事二課の刑事たちが捜査に乗り出すのですが、そこに凸井という大柄な女性キャリア管理官が乗り込み指揮を取り始めます。

しかし凸井の取る方針に従いきれない捜査官たちは独自に捜査を始める中、果たして「沈底魚」は本当に存在するのか、中国の偽装工作なのか、捜査は二転三転としていきます。


「沈底魚」として次期総理の呼び声高い政治家の名前が挙がる中、外事二課の不破は相棒を組んでいる若林の二重スパイ疑惑に、凸井の不可解とも思える捜査方針、更には二課内の仲間内での反目が相次ぐ中、自身の命の危険まで晒される事に。


そして二転三転する事態の末に辿り着く真実に、不破はある決断を下します。



という訳で、公安刑事を主人公にしたスパイものという事で、やはり事態の結末は苦く切ないものが待ち受けており、また、二転三転するストーリーはよく練られているなという印象を受けました。


ただ、始めにストーリーありきで何かが物足りない印象も拭えないのも事実。

これは設定や登場人物が、ストーリーを消化する為のものであって、ストーリーを消化する為の説明としての存在としての側面が強く、登場人物の中では特に主人公の不破に人間としての「厚み」を感じにくかったせいかも。


もう少し文章がこなれていて、そして読者に強く訴えかけるものがあればより面白かったのではと感じました。

もっともスパイものというと、全体的に空虚感というか、どこか冷たい印象を与えるものも多いので、そういった雰囲気作りとしては悪くなかったのかなとも思ったりもして(笑)。



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