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回帰者 (講談社文庫)
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アティカスはグルジアの小さな町でアリーナと静かに暮らしていた。
しかし、隣人の一家が何者かに惨殺され、14歳の少女が連れ去られてしまうという事件が起き、アティカスはその少女を助けるために自身とアリーナの身に危険が及ぶ可能性があるにもかかわらず、少女の行方を追い始める。
<アティカス・コディアック>シリーズ完結編。
ボディガード・シリーズとして始まったはずのアティカスの物語は、いつしか読者の、そして恐らくは著者の予想さえ超えた物語へとその軌跡は変貌し、そしてこの『回帰者』へと着地点を見出だしました。
アリーナと静かに暮らしていたアティカス。
何か秘密を抱えている様子の隣人だが、自身も秘密を抱えているアティカスたちは深くは関わらないように。
しかし、いつしかその家族と親しくなり、その一家の14歳の少女もアリーナにダンスを習うように。
けれども一家が何者かに惨殺され、少女も連れ去られてしまいアティカスたちの生活も一変する。
もちろん、自分たちの秘密を、そして静かな生活を守るためであるなら、惨殺された一家も連れ去られた少女の事も無かった事にすればいい。
けれども、ボディガードを生業とし、仲間と共に戦い、そして仲間を失っていきながら、その生きる道が大きく変わってもアティカスがアティカスである本質は変わらずにいた事が、少女を助ける為に危険を顧みずにその行方を追い始めます。
アティカスはやはりアティカスであった。
それを見事に表すのは、かつてアティカスの恋人であった女私立探偵ブリジット・ローガンの言葉。
そう、ハードでタフな男になったかも知れないけれど、ブリジット曰く6年経っても「いまだに救いがたいロマンティック野郎」というアティカスはアティカスである本質は変わっていなかった事が嬉しく、なぜだか自分までその言葉で涙しそうに・・・。
さて、今回は世界に蔓延る人身売買の世界へとアティカスは飛び込み、連れ去られた少女も過酷な運命に立ち向かう事になります。
少女を助ける為に世界中を駆け回るアティカスに明らかにされるアリーナのある秘密もまた、この人身売買という大きな闇の世界を映し出す為にも大きなポイントとなって描かれている辺りもうまく、アティカスの激しい怒りやアクションなどに突き動かされるように読み進めてきた読者にとって、ラストで懐かしい人の名前を見る事によって、どこか安心感ともいうべき優しい気分にさせられて、アティカスたちに平穏と希望に満ちた未来を願わずにおれないでしょう。。。
シリーズ6作プラス番外編1作(番外編といっても本編に密接しているのでほぼ本編と言っていいけれど)を、これから初めて読める人は、アティカス・コディアックという男の切なくも激しく、そして愛おしいまでの人生を一気に体感できる事を幸せに思えるのではないでしょうか。
自分も時間をおいて、いつかまたアティカスの生きざまを追体験してみたいものです。
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