『地球最後の野良猫』 ジョン・ブレイク | 固ゆで卵で行こう!

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地球最後の野良猫 (創元SF文庫 ) (創元SF文庫 フ 10-1) 地球最後の野良猫 (創元SF文庫 ) (創元SF文庫 フ 10-1)
ジョン・ブレイク

東京創元社 2010-06-10
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猫インフルエンザの変種で致死性のウィルスが人間に感染するようになってから、猫は一部の企業で厳しく管理されるようになっていたが、ジェイドが裏庭で見付けた猫は首輪も付けられていない野良猫だった。

ジェイドは母親を説得し、その猫をフィーラと名付け隠れて飼う事にするのだが。





猫を介して致死性のウィルスに感染する恐れがあるとして、一般の家で猫をペットとして飼う事はできず、一部の企業に管理され、富裕層だけが猫を飼う事ができる近未来のイギリスを舞台に、少女と少年と一匹の猫の逃亡劇と成長を描いた物語。


14歳の少女ジェイドが見付けた野良猫。

その愛らしさに魅了され、母親を説得してフィーラと名付けて隠れて飼うも、猫を飼っている事が猫を管理する組織にバレて、同級生のクリスという少年と一緒に逃亡する事になります。


で、この逃亡劇ですが、ジェイドとクリスのなんともギスギスとしたやり取りにもイラッとくる部分もあるのは、子供が主人公という事で我慢我慢(笑)。


しかし、残念なのはSF的な設定がいくつも示されているものの、それらのアイテムや設定に関しては一切説明がない事。

猫インフルエンザが実は人間に感染しないというような情報の真偽も、猫を管理する企業の裏側なども、全てが投げっぱなしというか、読者の想像力に委ねられているのも残念。

ある意味、読者自身が自由に想像力を膨らましてこの世界を構築させようとする事が著者の狙いだったりして(笑)。


そんな中で逃亡中はキャリーの中にずっといて出番が少ないながらも存在感の大きいフィーラの愛らしさが救いです。


また、終盤での活劇シーンは読み応えあって、その部分と、主人公の少女ジェイドが選択した結果は思いの外ヘヴィなものではあたけれど、ここでまさに少女の成長が窺え、ヘヴィながらも希望が見えるラストは良かったかも。






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