『ロンドン・ブールヴァード』 ケン・ブルーエン | 固ゆで卵で行こう!

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ロンドン・ブールヴァード (新潮文庫) ロンドン・ブールヴァード (新潮文庫)
Ken Bruen

新潮社 2009-10-28
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3年間の刑務を終えたミッチェル。

娑婆に出てすぐ、かつてのギャング仲間の世話になる一方、往年の大女優リリアンの屋敷の雑用係の仕事を得る。

ミッチェルはかつての仲間の元で再び暴力の世界に入り込みながらも、新たな生き方を見つけようとするのだが・・・。





ハヤカワでは著者名がケン・ブルーワン表記で3作品が出ている著者のクライム・ノヴェル。


出所したばかりの主人公のミッチェルは、往年の大女優リリアンの元で雑用係として堅気の仕事を手に入れるも、かつてのギャング仲間たちの誘いを断る事もできず、再び暴力の世界に次第にはまり込んでいってしまいます。


もっとも積極的に昔と縁を切ろうとする訳でもなく、状況にただ流されて深みにはまって行く様子は人生そのものに対してある種の諦観を抱いている男をよく描けていると思います。


しかし、だからこそ人生の新たな未来を得ようとして掴み切れずに迎えるラストは、哀しみを含んだカタストロフィを得れて実に印象深かったです。



それにしても主人公そのものよりも、脇役たちの方がインパクトがありましたね。

パラノイア的な主人公の妹なども印象に残りますが、妄執にとらわれている往年の大女優リリアンと、そのリリアンに奇妙な形で忠実に仕える執事のジョーダン、この二人が何よりもインパクトが強かった。

彼らの出番がもっとあれば、より深くこの世界を楽しめたんじゃないかなぁ。




ところで本作は映画化されて、もう完成間近だそうです。

コリン・ファレルにキーラ・ナイトレイが主演するそうで、どのようにこの世界観が描かれるか楽しみなところですね。







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