『吾輩はシャーロック・ホームズである』 柳広司 | 固ゆで卵で行こう!

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吾輩はシャーロック・ホームズである (角川文庫)

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柳広司


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ベーカー街221Bのワトスンの元に、心を病んで自分をシャーロック・ホームズと思い込んでしまっているロンドン留学中の夏目漱石がやってくる。

当分の間、夏目を患者として共同生活を送る事になるワトスン。

しかし、夏目と参加した高名な霊媒師の降霊会にて、その霊媒師が毒殺されてしまい・・・。





なんといっても夏目漱石が自分をホームズと思い込んで、ホームズがとある事件の為にロンドンを離れている間にワトスンと共に本物顔負けの推理を披露するという設定がうまいですよね。


勿論、夏目漱石が披露する推理は名推理というよりは迷推理で、やはり本家には敵わないですし、その推理の結果はトンチンカンなものだったりするのですが、それがワトスンにとってもある意味、目から鱗のような視点を与えてくれる辺りは、読者にとっても「あっ」と思うようなだったのが面白かったです。


異文化の中で自分をホームズと思い込む漱石の様子はコミカルで可笑しく思わず笑ってしまう描写も多いながら、近代文明に対しての資本主義や植民地支配、文化や人種、そして考え方の違いなど、作品中に込められているスパイスはなかなかにピリッとしているのも好印象です。


エンターテイメントとしても極上の、本当に楽しいホームズもののパスティーシュとしてお勧めできる作品ですね。



しかし・・・ワトスンが意識を失っていた間に見た夢の描写がいまひとつ理解し難かったです。

あの辺りはどのように解釈するのか・・・その辺は読者それぞれに委ねられているのでしょうかね。






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