|
ロマンス小説の七日間 (角川文庫)
|
神名という彼氏と半同棲中のあかりは、海外ロマンス小説の翻訳家。
現在翻訳中の中世騎士と女領主のロマンス小説に苦心しているところへ、神名が突然会社を辞めてきたと言って帰ってくる。
神名の不可解な言動に振り回されたあかりは、自分自身の胸の内に湧き上がる感情に任せて原作とかけ離れた物語を創りはじめてしまう。
主人公のあかりは、所謂ハーレクインロマンスと呼ばれるような海外ロマンス小説の翻訳家。
歯の浮くようなセリフや濃厚な濡場を苦心しながら日本の読者が期待するような描写に翻訳作業を行う毎日。
そんな中で半同棲中の彼・神名が突然会社を辞めてきたと言いだし、困惑し怒りを覚えるあかり。
結婚とかそういう事は互いに考えていなかったとしても、裏切られたというような思いに駆られ、その沸き起こる感情に任せて翻訳中のロマンス小説のストーリーを変えてしまう・・・というより捏造・創作をし始めてしまいます。
やめないと、と思いつつも現実世界では神名の言動に振り回されて、一週間以内に翻訳をしてしまわなかればならないのに創作を続けてしまうあかり。
その現実世界のあかりの恋愛を反映し、原作と離れた創作ものとして翻訳中のロマンス小説の世界も描かれていくのが面白かったですね。
あかりの中で抱えていたものを吐き出すように創作し続けるうちに、現実世界でも神名とちゃんと向かい合う事ができるようになり、創作している物語の中と、そして神名との仲についてもある決着をつける事になります。
物語の中だけでも幸せな結末をと言う神名。
あかりの創作した物語の結末を読んで何を思うのでしょうか。
あかりが気に入って欲しい、気に入ってくれるといいなと思うように、果たして神名が気に入ってくれたなら、きっと二人の気持ちや形が変わったとしても、きっと二人にとって幸せな結末が待っているんじゃないかなとと温かな気持ちに読了後はなれました。
↑現実世界はハーレクイン・ロマンスのようにはいかないなぁと思う方はポチッとな↑
