『毒蛇の園』 ジャック・カーリイ | 固ゆで卵で行こう!

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毒蛇の園 (文春文庫) 毒蛇の園 (文春文庫)
Jack Kerley

文藝春秋 2009-08-04
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惨殺された女性記者の事件を追う刑事カーソンと相棒のハリーは、そこから酒場で殺された精神科医や刑務所で毒殺された服役囚への事件との繋がりを感じる。

捜査を進める二人の前に見えてくるのは、地元の実業界を牛耳る富豪一族の影だった・・・。





『百番目の男』『デス・コレクターズ』に続く〈カーソン・ライダー〉シリーズの三作目です。


あくまでもサイコ・サスペンスの趣きを持っていた前二作に比べると今回の事件も一見サイコもののに見えはしますが、割合オーソドックスなサスペンスだったと言えるんじゃないでしょうか。

事件の裏に潜む富豪一族の暗い血の秘密と恐るべき計画は、それほど意外性は感じられず、ある意味古典的なミステリとしての部分が目立ってましたね。


そういった点をこのシリーズに求めていると「あれれ?」と思うかも知れないです。

実は自分もそう思って、ちょっと拍子抜けしたんですが(笑)。


拍子抜けと言えば、カーソンのサイコな兄ジェレミーが今回は出番無しなのには吃驚です。

なんと言ってもジェレミーはトマス・ハリスの「羊たちの沈黙」のレクター博士のような存在であるジェレミーが出てこないとは思いもしませんでした。

しかし、あえてシリーズ三作目でジェレミーを登場させない事によって、このシリーズをより本格的な刑事小説として昇華させていこうとする著者の思惑が見えるような気もしますし、また、次作以降への布石としているのではとも思われて、色んな意味でシリーズ四作目を読める時が待ち遠しい気にさせられました。



さて、本書は途中の伏線なども見え見えで、少々興ざめする部分もありましたが、退職を間近に控えたロートルな刑事が終盤で苦手なハイテク装置を駆使して活躍を見せる場面には思わずニヤリとさせられました。

なかなかのキャラクターですが、今後は残念ながらもう出番は無いのかな?






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