『ダブルオー・バック』 稲見一良 | 固ゆで卵で行こう!

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ダブルオー・バック (新潮文庫)

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稲見一良


新潮社 1992-01
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「オープンシーズン」

「斧」

「アーリィタイムス・ドリーム」

「銃執るものの掟」



一丁の銃、ポンプ・アクション6連発銃―ウインチェスターM12を巡る、四つの上記のタイトルの物語が収められた短編集。


その銃が人の手から手へと移り行く中で生まれたドラマは、どれも胸に熱い何かをもたらします。


そのどれもが男としての、それぞれの生き方を貫き通す様が描かれた良質のハードボイルドなのですが、ハードボイルドへの憧れを抱くバーのマスターを描いた「アーリィタイムス・ドリーム」だけがハードボイルドに対するパロディのように描かれコメディみたいな印象もあってちょっと異色でしょうか。


個人的に気に入ってるのは「斧」。

中学生の少年が父の姿から見るその真っ直ぐな生き方から学ぶものとは・・・。

正直ベタな展開を見せるかも知れないですが、それだけにストレートに心に響くものがあります。


そして最後の「銃執るものの掟」も印象深い。

余命いくばくも無い老人が、静かな山の生活の中に押し入ってきた男を前に、最後まで生への執着心を捨てない姿はひたすら格好いい。


あ、最初の物語「オープンシーズン」もやはりいいですね。

病に侵され射撃選手としての腕が落ちていく中でも、独特の射撃フォームを最後まで貫き通す姿。

それを見守る女性が男の中から消えていく何かを感じ取っていき離れていく様子は、なんとも哀切感溢れて痛々しい程でした。



という訳で、結局どの物語も強く心に残る物語ばかり(笑)。

病魔に侵された稲見さんが世に出した最初の作品という事もあってか、稲見さんの生への想いが強く現れた、荒々しくも、そしてどこか切ないながらも温かみも感じ取れる連作短編集でした。